毎年10月のはじめの月曜日はハビタットデーである。各国各地でイベントが開催される。コソヴォでもなにかイベントを、と何度かチームミーティングで議論されたものの、上のまとまりが悪く要領を得ない。地元がハビタットと一緒に何かイベントをする、というのが趣旨で、我々の状況下では自治体が主体となったアクションを行うことになるようである。
何かアイデアを、とフランクとクリスティーナが募集。いくつかアイデアも上がったにもかかわらず、いつのまにかそれぞれの自治体の自主性に任せる、と全体としてのイベントを却下。
プリシュティナオフィス主催ならば支援するが、各自治体となると、現在TPR準備でイベントができる状況ではない。
午前中は自治体部長会議、兼、自治体プランニングチーム会議。その場を借りてハビタットデーの説明とナイロビ代表のコメントをアイダが朗読。
その後、TPR用に用意した「Past, Present and Future of Ferizaj」をプレゼンする。モビリティセンターの内容も含まれているので、グンナーと通訳のフラマーにもフェリザイに来てもらった。
6ヶ月の成果としての解説トピックは以下の内容
・自治体のプランニング組織構成について
・外部組織との連携について
・戦略的プランニングアプローチ(自治体内部の部局間の意向調整、データ分析、コンサルとの調整、市民参加の推進、NGOとの連携、中央政府との連携)
・プロジェクトの優先順位(経済・環境へのインパクト、市民の居住環境への影響)
・モビリティセンタープロジェクト(EUにおける位置づけ、現状分析、コソヴォ鉄道の政策、タスクフォースの活動、プロジェクト戦略)
・今後の展開
モビリティセンタープロジェクトについて、その目的と効果、実現方法のイメージなどをグンナーに追加解説してもらう。
プロジェクトについてはおおむね賛同の様子、実際の実現方法についての質問が多い。中にはまだ駅機能を都市郊外に移転する発想について質問する者もいるが、駅機能を中心市街地に確保しておくことが有効であることはある程度認識されるようになってきている。
今日からシアンが我が家に宿泊。彼は今週末にコソヴォを離れる。荷物をまとめて担当自治体のプリズレンから引き上げてきた。夜は共に飲んで、ご飯を食べる。
10/3 チームミーティング
プリシュティナオフィスでミーティング。明日からのTPRミーティングについての最終確認が行われる。いまいち要領を得ない部分もあるが、準備はできているので問題はない。
昨日発表した資料について、自治体のプランニング組織構成の説明は初日午後のセッションでムスタファが説明することになっている。モビリティセンターについても同セッションでグンナーが説明することになっているが、細かい説明は行わない。
TPR2日目、午前中はフェリザイへの視察となっている。昨日のプレゼンのモビリティセンタープロジェクトについて説明することにする。資料はアルバニア語に翻訳してムスタファが発表する。英語版はコピーを配布する。
なんとか準備も整い、一安心。
アルバニア語版にした場合の図の修正など、細かな対応を行う。
夜はシアンとエリックとインド料理を食べに行く。エリックはスロベニア研修旅行の企画担当を任されていて、その調整がうまくいかず憤っている。
エリックとフローの間に子供ができたことを聞かされる。3ヶ月、彼女はいま検査でベルギーに帰っている。とにかく、おめでとう。
10/4 TPR Day-1
午前中、プリシュティナオフィスでスウェーデン政府とHABITATナイロビのダンルイスを交えた、インフォーマルなミーティングが行われた。簡単に言うと、現在の状況を率直に担当者の口から聞きたい、というところだろうか。
しかし、上司の段取りが悪く、どの段階で何を説明すべきか全くわからない。フランクは午後使用するパワーポイントを映して、これで説明してほしいと言い出すし、同じパワーポイントを2度みせるべきじゃないとアイダは怒る。フランク曰く、「何もないより見栄えがよい」。いや、あまりにお粗末なご意見。
とにかく、パワーポイントにかかわらず、6ヶ月経っての感想を説明すればいい訳ね?と確認する。
各自治体の担当者の説明、フェリザイについては、以下の内容を説明する。
~最も大きな成果としては、我々が”モビリティセンター”と呼んでいるプロジェクトがある。これは公共交通専門家のグンナーと密に連携して進めているプロジェクトであるが、今日の午後と明日現地視察の際に詳しい説明をする予定であるので、その他、6ヶ月を過ごして感じている印象を中心に説明させてもらいます。
まずはじめに、当初自治体でのプランニング支援を始めたときには、プランニングについて市民参加についての知識が全くなかったのが現状である。その時点から変わったと感じることは以下の点である。~
・プランニング活動に触れる担当者の温度・雰囲気が変わったこと
はじめは及び腰であった自治体の職員について、彼らをテーブルにつかせる努力をしている。たとえば農業自然部局部長へのヒアリングの際、フェリザイの農業土地利用の状況を教えてほしいと訪ねた際に、資料がないといわれる。しかし、フェリザイの中で農業土地利用のことを最も理解しているのは専門家であるあなたしかいない、だから、ラフなスケッチでもいいから、いまここで地図に示してほしいと協力を仰ぐ。
テーマ別検討部会でも、コンサルタントと契約しているから彼らに分析をさせるべきだとの皆の考えが主体であった。しかし、実務に触れているあなたがたの意見が誰よりも正確であること、その意見をプランに反映させなければ、コンサルの描いた、ただの絵がプランになってしまう。それにフェリザイの将来を託せるのかと問う。
プランニングの重要性のみならず、いかにプランニング活動を楽しむか?誇りをもって取り組むかという姿勢について、様々な機会でトレーニングしてきた。
現在では非常に優秀なプランナーが1名いる。その他の者も、プランナーとしてトレーニングの中にある段階ではあるが、少しずつ、議論の和に加わって発言を始めている。単なる追加の仕事から、特別な何かへと変わってきている空気を感じる。
・コンサルタントによる「絵」を、実現可能な「プラン」へと近づける
たまに来て、充分な基礎分析なしに絵を描いてくるコンサルに対し、自治体職員の意見や、カウンシルプランニングエキスパートの意見を採り入れるよう協議している(協議というよりも、闘争に近い状況が多いが)。市長が早急にプランを策定せよと指令を出していること、またコンサルはプロだから市民の意見は必要ないと市長がコンサルを支持する状況にある。とかく時間をかけて実効性の高いプランを策定しようとしている自治体プランナーが市長に非難される状況があった。
それでも、様々な主体の参加や意見聴取の必要性を説き、プランニングプロセスにコンサルタントを参加させている。
・市民意見聴取の推進
法によるパブリックリビューが唯一の市民意見聴取とするコンサル側に対し、法の施行令等に定義されている、広義の市民参加を根拠とした市民意見聴取の実施を進めたこと。
現段階で村落4回、市内2回、シビルソサエティ1回、ビジネスコミュニティ1回のミーティングを行っている。参加者からは、民主主義の仕組みとして歓迎されるとともに、自治体プランナー、コンサルタントも地元の声を聴くことでえるものが大きかった。
・アクションプロジェクトの推進
プランが単に絵に描いたものではなく、現実のものとなることを示すためにも実現可能なプロジェクトを推進することが求められる。現段階ではシティセンターの改善を目指すモビリティセンタープロジェクトを推進している。今後、調査を進めると共に、他のプロジェクトも推進する。
上司の仕切りは悪くとも、我々国際プランナーがカバー。午前中のセッションは有意義に終わる。
また、ダンルイスによるコソヴォのプランニングについてのコメントがあった。彼は以前コソヴォHABITATで土地所有に関わる登記等のプロジェクトを進めていた経緯がある。
UNICEFの子供への支援、UNDPによる開発事業援助、UNHCRによる難民対応などと比べて、HABITATの活動は簡単に説明ができないし、その成果も表現が難しい。しばしばHABITATは何をしてきたのかと問われることがある。その成果があがっていることは間違いないが、戦略的に、かつその重要性をアピールできるよう手段を講じていかなければならないことが指摘される。
また、プランニング、各種土地利用データと土地の権利について、この3つの内容が統合されるような仕組み作りに今後取り組む必要性があることも説明された。
個人的にも土地の権利とプランニングの連携については大きな課題だと認識していたので、興味深い話であった。
午後は、ビクトリアホテルにてフォーマルな会議が催される。6自治体のプランナー、市長またはCEO、中央政府、スウェーデン政府、HABITATナイロビ本部などによるコンフェレンス。
演説を始める人がいたりして、あまりまとまりのある会議にはらななかった。
10/5 TPR Day-2 フェリザイ視察配付資料のコピーなどやることがあるので7時半に迎えに行く、とアイダに言うも、無理、7時45分にして。といわれる。わかった、絶対遅刻しないように、と妥協。
視察が来るのが9時。それまでにセッティングができるかどうか。
8時半にフェリザイに到着。英語版とアルバニア語版の資料をコピーする。ムスタファが発表内容の再確認に来る。
バタバタしているうちに視察団到着。市長室に集合するというが、まだ印刷途中、それみたことか。アイダとムスタファを先に行かせる。
市長室に皆が勢揃い。市長との会談が始まる。
視察訪問への謝意にはじまり、市長によるフェリザイの状況解説。人口に対する中央政府の予算配分が少ないこと、市内に充分な土地がないにもかかわらず、学校施設などのニーズが高いこと。KTA
(Kosovo Trust Agency)が凍結している公有土地の民間売却が進んでおり、大規模土地が一気に土地利用転換されることが想定されること。にもかかわらず、我が市にはまだプランがないため、早急に策定させるように指示を出していること。駅とバスセンターの統合についての議論は、駅を市内に残すことについては理解できるものの、バス機能を統合することで中心部は大渋滞になるのではないかと考えていること。モビリティ
センタープロジェクトについて良く議論したいことが説明された。性急にプランを策定させるとの発言に対して、フランクが反論する。
「時間をかけて様々な意見を採り入れてプランを作ることが必要。欧州では一般的にプラン策定に数年かけるの
が通常である。スピードアップよりも、我慢しながら時間をかけて良いものを作ることが必要である。」と指摘。これに対して市長
「私は法律家である。法律に関して言えば悪い法律であってもないよりはましだと思っている。今はプランニングに関してその法律がない状態、だから急いで必要だと考えている。」
ナイロビ本部のダンルイスの援護
「しかし、悪い法律が与える悪影響というものもある。フランクが言ったのはその弊害を避けることが必要であるという意味だと解釈できるが。」
スウェーデン政府の援護
「とにかく、たとえプランが必要で早急に策定したとしても、コンサルに任せて作ったプランができあがった時点でプランニングが終わったとは思わないでほしい。そこがスタートであり、そこから考えるべき事が多くある。」
またKTAにより凍結されている土地の土地利用転換についてダンルイスが質問。周辺住民との調整や規制誘導の手段について訪ねる。これは建設法のなかで周辺協議が位置づけられており、また議会でも議論される。しかし市長に言わせればプランがないので適切に誘導できないとのこと。
しかし、コンサルの描いたあのプランでは誘導しようもないとおもうけれど。
話がモビリティセンターになり、ムスタファが説明を始める。しかし別室でのプレゼンが用意されているので、「ちょうどモビリティセンターの話になったところで、プレゼンに移りましょうか?」と別室に移動する。
ムスタファによるプレゼンテーション。彼は状況を良くわかっているし、自分の意見を交えてうまく説明している。プレゼンについて、ナイロビスタッフ、スウェーデン政府に絶賛していただいた。
HABITATの都市計画支援プログラムは実はコソヴォが先駆事例であり、ダンルイスは、このプロジェクトを評価し、各国での参考にしたいとコメント。フェリザイ自治体担当者がナイロビに招待されることも示唆した。クリスティーナもフランクにもパーフェクト、とお褒め頂いた。
まだ、やることが多く、これで喜んでもらっては困るのだけれど、。
オフィス見せてもらえる?とスウェーデン政府。狭くて質素なところですがどうぞとご招待。沢山の人が狭い部屋に。最後は駅の見学。
とりあえず、一段落。












































